田辺 雄之

鎌倉笹目座

田辺 雄之

2018 / Interior / Architecture / Landscape

鎌倉笹目座/SASAMEZAは神奈川県鎌倉市笹目に位置する2棟(全8テナント)の木造2階建商業施設。敷地は鎌倉中心部から長谷の大仏へ向かうバス通りである由比ガ浜通りに面している。この通りには明治、大正、昭和初期の鎌倉別荘文化を今なお感じさせる商店がいくつか点在する。それら商店の多くは二重屋根/二重庇を持つファサードで、町のスケールをつくりだしている。そこで今回の建物のファサードにも内部が見え隠れする二重屋根/二重庇を設ける計画とした。計画当初は建物完成時に敷地を分割して販売することも考えられていたため、コートヤードを形成しながらも敷地を二分するように双子のような2つの建物を配置した。延床面積はどちらも約32坪ほどであるが、敷地形状に合わせて平面形が若干異なる。しかしそれぞれの建物の屋根勾配の水下を両隣地側にとることで一棟のような一体感をつくりだしている。またパサージュやコートヤードを挟んだ開口部を平面的に同じ位置とすることで、隣棟への繋がりや広がりもつくりだしている。内部空間には構造材の見える化(オフセット柱+長押)により異なるテナントが入居しても建物全体の統一感を保つ狙いがある。木造の屋外階段、二重屋根、外壁にウッドデッキ等この建物で使われている屋外部分の木材は、留め方やブラケットを工夫することで更新可能な納まりとしている。今回の建物は商業施設であり不特定多数の方が訪れる。その方々に輸送エネルギーの低減と、森林の維持管理の大切さが少しでも伝わるように地産地消もテーマとして掲げた。そのためクライアントと林業者、施工者と共に神奈川県の箱根の山林に入り、柱や梁となる木を選定し伐採するところから始めた。中庭を用いてそれらの関連イベントも行っていく予定である。

https://yuji-tanabe.com/kamakura-sasameza/