田辺 雄之

WORK x ation Site 軽井沢

田辺 雄之

2020 / Interior / Architecture / Landscape

WORK x ation Site軽井沢/ワーケーションサイト軽井沢は長野県軽井沢のラウンドアバウト(六本辻)に面する建物のリノベーションとフォリーの増築プロジェクト。リノベーションは飲食店だった建物をフレキシブルなワークスタイルに対応するワーケーションオフィスへの変更。緑豊かな木々に囲まれた敷地は約311坪で、既存建物の延床面積は約83坪。建物形状はラウンドアバウトを背に平屋部分と2階部分がV字のように繋がる。1Fはエントランスホールを挟むかたちで50~60㎡ほどのワークスペースが2つと、水回りやカフェを配置。また既存計画ではラウンドアバウト側に対して勝手口やサービスエリアを設け完全に閉じたプランとなっていたが、今回の計画では狭いながらもそちら側に開口を設けることで、エントランスホールを風と光が通りぬけるスペースとした。また交通量のあるラウンドアバウト側にカフェテラスを設けることで、コマーシャル力のあるファサードをつくりだした。2階は既存計画では小部屋に分かれていたが、柱・梁・壁の構造を補強して広々とした60㎡ほどのワンルームのワークスペースとし、更に開口部の増設や拡張をおこない敷地内の緑が溢れる空間とした。リノベーションならではの工夫としては、ケーブルラックを兼ねた長押を新たに壁に設けることで、既存壁を壊さずに新規の照明器具やプロジェクターを配線できる仕組みとした。またその長押に呼応させる形で縦枠も設け、プロジェクターを投射する壁や、ホワイトボード壁などオフィスユースの機能をインテリア化させている。既存計画においては床下に断熱が全く施されていなかったため、浮き床とすることで新たに断熱層を設けた(床コンセントも増設)。空調換気においては、機器を省エネ仕様のものに置き換えると共に全熱交換式の換気扇を増設し、断熱と共に冬季の使用に配慮した。既存の外壁は一部に鏡や擬石が大胆に張られ時代を感じさせる仕上げであったため、その多くを周囲の緑が映えるグレーに塗装した杉板張りで被いかぶせた。外構においては、エントランスや駐車場の位置は変更することなく動線の整備を行い、施設のアイコンとなる白樺を中心に地域に則した植栽を増やす計画とした。その外構の一部に、休憩スペースとしてのフォリーを増築した。フォリーは屋根や庇や壁を兼ねた角度が異なる6枚のサーフェイスから構成されている。それらの大きさや角度はそこに佇む行為に対してのヒューマンスケールであると共に太陽光の角度や耐風圧からも検討し、更に板のピッチ幅は雨水の流れをシミュレーションした結果を反映した上部から下部へのグラデーションとしている。フロアレベルは2つあり、低い方は斜め壁を背に段差を利用して大きなベンチのように座れ、高い方は足を投げ出して縁側のように開放的に座れる。またこのフォリーは通りからも見える位置に配置することにより、軽井沢という厳しい景観規制のなかで、生まれ変わった施設の「何も書かないビルボード」としての役割も果たす。

企業に対しての短中長期の1棟貸しや部屋貸し、それらの利用が無い時の個人貸し利用を想定する中で、多様なニーズに応えると共に、自分の居場所を見つけられるような空間づくりを行った。

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